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法律編 消防庁告示第19号
住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準
平成十八年五月三十日
消防庁告示第十九号
特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成十七年総務省令第四十号)第三条第二項第四号ホの規定に基づき、住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準を次のとおり定める。
住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準
第一 趣旨
この告示は、特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成十七年総務省令第四十号。以下「省令」という。)第三条第二項第四号ホに規定する住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定めるものとする。
第二 用語の意義
この基準において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
- 一
- 住戸用受信機 住戸用自動火災報知設備の受信機(受信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和五十六年自治省令第十九号)第二条第七号に規定する受信機のうち、P型三級受信機又はGP型三級受信機に限る。)であって、住戸等(省令第二条第二号に規定する住戸等をいう。以下同じ。)及び共用部分(省令第二条第四号に規定する共用部分をいう。以下同じ。)に設ける感知器(火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和五十六年自治省令第十七号。以下「感知器等規格省令」という。)第二条第一号に規定する感知器をいう。以下同じ。)から発せられた火災が発生した旨の信号(以下「火災信号」という。)を受信した場合に、火災の発生を当該住戸等及び共用部分の関係者に報知するものをいう。
- 二
- 音声警報装置 感知器又は住戸用受信機から発せられた火災信号を受信し、音声又は音響により火災の発生を報知するものをいう。
- 三
- 補助音響装置 住戸等及び共用部分にいる者に対し、有効に音声警報又は音響警報を伝達するために、住戸用受信機から発せられた火災信号を受信し、補助的に音声警報又は音響警報を発する装置をいう。
- 四
- 戸外表示器 住戸等の外部において、住戸用受信機から発せられた火災信号を受信し、火災の発生を報知するものをいう。
第三 住戸用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準
住戸用自動火災報知設備は、次の各号に定めるところにより設置し、及び維持するものとする。
- 一
- 省令第三条第二項第四号ロにおいてその例によることとされる省令第三条第二項第三号イただし書の警戒区域が二以上の階にわたったとしても防火安全上支障がないものとして消防庁長官が定める設置及び維持に関する技術上の基準は、次に定めるところによること。
- (一)
- 住戸用自動火災報知設備の一の警戒区域の面積が住戸等にあっては百五十平方メートル以下、共用部分にあっては五百平方メートル以下であり、かつ、当該警戒区域が特定共同住宅等(省令第二条第一号に規定する特定共同住宅等をいう。)の二の階にわたる場合又は第二号(一)イ及びハの規定により煙感知器を設ける場合であること。
- (二)
- (一)の規定にかかわらず、階段室型特定共同住宅等(特定共同住宅等の構造類型を定める件(平成十七年消防庁告示第三号。(三)において「構造類型告示」という。)第二第四号に規定する階段室型特定共同住宅等をいう。以下同じ。)にあっては、一の階段室等(省令第二条第五号に規定する階段室等をいう。以下同じ。)のうち、六以上の階にわたらない部分を一の警戒区域とすること。
- (三)
- 廊下型特定共同住宅等(構造類型告示第二第五号に規定する廊下型特定共同住宅等をいう。以下同じ。)の階段室等にあっては、当該階段室等ごとに一の警戒区域とすること。
- 二
- 感知器は、次に定めるところによること。
- (一)
- 次のイからチまでに掲げる場所に、当該イからチまでに定めるところにより感知器を設けること。
- イ
- 階段及び傾斜路 煙感知器
- ロ
- 廊下及び通路 差動式及び補償式スポット型感知器のうち一種若しくは二種、定温式スポット型感知器のうち特種(公称作動温度六十度又は六十五度のものに限る。以下ヘ及びトにおいて同じ。)又は煙感知器
- ハ
- エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類するもの 煙感知器
- 二
- 感知器を設置する区域の天井等(天井の室内に面する部分又は上階の床若しくは屋根の下面をいう。以下同じ。)の高さが十五メートル以上二十メートル未満の場所 煙感知器又は炎感知器
- ホ
- 感知器を設置する区域の天井等の高さが二十メートル以上の場所 炎感知器
- ヘ
- 住戸 自動試験機能等対応型感知器(感知器等規格省令第二条第十九号の三に規定する自動試験機能等対応型感知器をいう。以下同じ。)であって、差動式及び補償式スポット型感知器のうち一種若しくは二種、定温式スポット型感知器のうち特種又は煙感知器のうち一種、二種若しくは三種
- ト
- 共用室(省令第二条第三号に規定する共用室をいう。)及び管理人室 差動式及び補償式スポット型感知器のうち一種若しくは二種、定温式スポット型感知器のうち特種又は煙感知器のうち一種、二種若しくは三種
- チ
- イからトまでに掲げる場所以外の場所 その使用場所に適応する感知器
- (二)
- 感知器の設置は、次に定めるところによること。
- イ
- 熱感知器は、共用部分の廊下及び通路にあっては、歩行距離十五メートルにつき一個以上の個数を、火災を有効に感知するように設けること。
- ロ
- 煙感知器は、共用部分の廊下及び通路にあっては歩行距離三十メートル(三種の感知器にあっては二十メートル)につき一個以上の個数を、階段及び傾斜路にあっては六以上の階にわたらない部分ごとに一個以上の個数を、火災を有効に感知するように設けること。
- (三)
- 感知器は、住戸用受信機に接続すること。
- 三
- 中継器は、消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号。以下「規則」という。)第二十三条第九項の規定の例によるほか、その付近に当該中継器の操作上支障となる障害物がないように維持すること。この場合において、遠隔試験機能(中継器に係る技術上の規格を定める省令(昭和五十六年自治省令第十八号。以下「中継器規格省令」という。)第二条第十三号に規定する遠隔試験機能をいう。)を有する中継器のうち、中継器規格省令第三条の三第三項第一号に規定する外部試験器を接続するものにあっては、住戸の外部であって容易に接続することができる場所に設けること。
- 四
- 配線は、規則第二十四条第一号(チを除く。)及び第五号の二ハの規定の例によるほか、次に定めるところによること。
- (一)
- 電源から住戸用受信機(監視状態を六十分間継続した後、十分間以上作動することができる容量の予備電源を有する場合を除く。)までの配線並びに住戸用受信機から戸外表示器、音声警報装置(住戸用受信機の音声警報装置を除く。)及び補助音響装置までの配線は、規則第十二条第一項第五号の規定の例によること。
- (二)
- 住戸等に設ける感知器及び音声警報装置の信号回路の配線(戸外表示器と共用する配線を除く。)は、当該住戸等の外部から容易に導通を確認することができるように措置が講じられていること。
- 五
- 住戸用受信機は、規則第二十四条第二号(イ及びロに限る。)及び第六号並びに第二十四条の二第一号(ホ及びヘを除く。)の規定の例によるほか、次に定めるところによること。
- (一)
- 住戸等及び共用部分に設けること。
- (二)
- 住戸等及び共用部分で床面積が百五十平方メートルを超えるものに設けないこと。
- (三)
- 住戸等に設けられた住戸用受信機にあっては、感知器から発せられた火災信号を受信した場合に、当該信号を戸外表示器に発信する機能を有すること。
- (四)
- 警報を停止できる機能を設けることができること。
- 六
- 電源は、規則第二十四条第三号の規定の例によること。ただし、住戸等に設ける住戸用受信機の電源にあっては、住戸等ごとに交流低圧屋内幹線から専用の分岐開閉器を介してとること。
- 七
- 音声警報装置(補助音響装置の音声警報装置を含む。以下(一)、(三)及び(六)において同じ。)は、次に定めるところによること。
- (一)
- 音声警報装置の音圧は、音声警報装置から一メートル離れた位置で七十デシベル以上であること。
- (二)
- 音声警報装置は、住戸等及び共用部分に、かつ、有効に火災の発生を報知できるように設けること。ただし、有効に音声警報又は音響警報が伝わらないおそれのある部分については、当該部分に音声警報又は音響警報を有効に伝達することができるように補助音響装置を設けることとする。
- (三)
- 音声警報装置の音声警報音は、次に定めるところによること。
- イ
- 音声警報音は、シグナル及びメッセージにより構成するものであること。
- ロ
- シグナルは、非常警報設備の基準(昭和四十八年消防庁告示第六号)第四第三号(二)に定めるところによること。
- ハ
- メッセージは、男声によるものとし、火災が発生した場所、避難誘導及び火災である旨の情報又はこれに関する内容であること。
- 二
- 音声警報音は、サンプリング周波数八キロヘルツ以上及び再生周波数帯域三キロヘルツ以上のAD-PCM符号化方式による音声合成音又はこれと同等以上の音質を有するものであること。
- (四)
- 音声警報を発する区域は、次のイ及びロに掲げる区分に従い、当該イ及びロに定めるところによること。
- イ
- 住戸等において火災の発生が確認された場合 当該住戸等に設置された感知器から発せられた火災信号を受信した住戸用受信機の警戒区域及び当該住戸等に面する共用部分
- ロ
- 共用部分において火災の発生が確認された場合 当該共用部分に設置された感知器から発せられた火災信号を受信した住戸用受信機の警戒区域
- (五)
- 音声警報は、次に定めるところによること。
- イ
- 音声警報の構成は、第一シグナル、メッセージ、一秒間の無音状態、第一シグナル、メッセージ、一秒間の無音状態、第二シグナルの順に連続する警報を一単位として、これを十分間以上連続して繰り返すものであること。
- ロ
- 火災信号を受信した場合に、自動的に音声警報を行うこと。
- (六)
- 住戸の外部から、自動試験機能(中継器規格省令第二条第十二号に規定する自動試験機能をいう。)又は遠隔試験機能を用いて住戸に設置されている住戸用受信機及び自動試験機能等対応型感知器並びに住戸の外部に設置されている戸外表示器の機能の異常を確認する場合には、当該住戸の音声警報装置が音声警報(戸外表示器の警報を除く。)を発しない措置を講じることができるものであること。
- 八
- 音響警報を用いる住戸用自動火災報知設備にあっては、前号((一)、(三)イ及びハ並びに(五)イを除く。)及び第四第一号(一)に定めるところによるほか、感知器から発せられた火災信号を受信した場合に住戸用受信機から火災が発生した旨の音響警報を発するものであること。
- 九
- 戸外表示器は、次に定めるところによること。
- (一)
- 戸外表示器は、次のイからハまでに適合する場所に設けること。
- イ
- 住戸、共用室及び管理人室の主たる出入口の外部であって、作動表示灯(戸外表示器に設けられ、当該戸外表示器が設置された住戸、共用室及び管理人室の感知器が作動した旨を表示する表示灯をいう。)が当該住戸、共用室及び管理人室が面する共用部分から容易に確認できる場所
- ロ
- 点検に便利な場所
- ハ
- 雨水のかかるおそれの少ない場所
- (二)
- (一)に定めるもののほか、戸外表示器は、消防庁長官が定める基準に適合するものであること。
第四 共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準
共同住宅用非常警報設備は、次の各号に定めるところにより設置し、及び維持するものとする。
- 一
- 音響装置は、非常ベル又は自動式サイレンの音響装置とし、次に定めるところによること。
- (一)
- 音圧は、音響装置の中心から一メートル離れた位置で九十デシベル以上であること。
- (二)
- 一の起動装置の操作によって、当該特定共同住宅等に設ける音響装置を一斉に鳴動させることができること。
- (三)
- 廊下型特定共同住宅等にあっては、廊下の各部分から一の音響装置までの水平距離が二十五メートル以下となるように設けること。
- (四)
- 階段室型特定共同住宅等にあっては、一階及び当該階から上方に数えた階数三以内ごとに設けること。
- 二
- 起動装置は、規則第二十五条の二第二項第二号の二(イを除く。)の規定によるほか、各階ごとに、階段付近に設けること。ただし、階段室型特定共同住宅等にあっては、一階及び当該階から上方に数えた階数三以内ごとに設けることができる。
- 三
- 操作部(起動装置と連動し、又は手動により警報を発するものをいう。)は、次に定めるところによること。
- (一)
- 点検に便利で、かつ、雨水等のかかるおそれの少ない場所に設けること。
- (二)
- 一回線に接続することができる音響装置及び表示灯の個数は、それぞれ十五以下とすること。
- 四
- 配線は、規則第二十五条の二第二項第四号の規定の例によること。
- 五
- 非常電源は、規則二十五条の二第二項第五号の規定の例によること。
附則
この告示は、平成十九年四月一日から施行する。